島根大学医学部統合腎疾患制御研究・開発センター(The Center for Integrated Kidney Research and Advance [IKRA])のセンター長、金﨑啓造と申します。この度は、私たちの活動と目指す方向性についてご紹介させていただきます。
現在、IKRAには、内科系・外科系を含む腎臓研究を専門とする8人の主任研究者が所属しています。このように、一つの研究領域に対して専門分野・診療科の異なる専門家が地方大学の医学部に在籍することは極めて稀であり、地方大学の特色を生かした軽快なフットワークと垣根のない多面的な取り組みが可能です。
そのような分野横断的な腎臓研究の強みを活かし、腎疾患に対する理解を深め、効果的な治療方法を開発するために、IKRAは「統合腎疾患制御研究・開発プログラム」として2023年3月に発足しました。このプログラムは2024年2月から現在の「統合腎疾患制御研究・開発センター」へと進化し、さらに研究機能を強化しています。
私たちの目標は、腎疾患の進行を遅らせ、将来的には予防する方法を見つけることです。そのためには、島根県をはじめとする地域社会の実情に即した治療法の開発が不可欠であり、その成果を全国・世界に向けても発信していきたいと考えています。島根県では2019年以降、主に糖尿病性腎症の増加抑制が牽引して中国地方では唯一透析患者数の増加が抑制できています。
これには多職種による糖尿病に対する積極的な介入と臨床的根拠を有する薬剤の積極的な活用が効果を発揮していると考えられます。ただし超高齢化社会を先取りする島根県での腎疾患克服のためには特に老化と関連する腎臓病の実態・病態の把握と新規治療戦略の開発が欠かせません。
地域医療に貢献し、腎疾患患者の生活の質を向上させるために、私たちは継続的に研究を行い、教育に力を入れ、臨床においても最良の治療を提供してまいります。地域の皆様とも協力しながら、これからも腎臓病の研究と治療の発展に努めてまいります。
私たちの取り組みにご関心を持っていただき、誠にありがとうございます。今後とも皆様のご支援とご協力を心よりお願い申し上げます。
金﨑 啓造島根大学医学部統合腎疾患制御研究・開発センター センター長